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中国・年度報告と経営異常名簿登録について

毎年6月30日は企業の年度報告の締め切り日とされており、市場監督管理局の商事主体年度報告画面等で会社の登記情報、経営関連情報をアップロードすることになっています。この時、監査報告書の提出は不要ですが、記入内容には一部財務諸表上の数値等が含まれるため、監査報告書作成発行及び確定申告後に記入提出することが一般的です。6月に入ると、企業の登記担当者の携帯電話番号宛に、月末はシステムが込み合うこともあり、早めに年度報告を完了するようテキストメッセージが入ることや、オフィスの固定電話宛に直接電話が入ることがあります。この年度報告が期限までに完了されていない、或いは担当官からの確認電話に誰も出ないなどの場合、企業情報公示システムにおいて「経営異常名簿」に掲載され表示されるとの通告を受けることがあります。また企業のオフィス移転で、適時に登記住所変更手続きが未了である間、ちょうど年度報告の時期に当たり、前の住所への検査・固定電話番号への確認がある際、登記住所通りに経営活動を行っていないと見なされる運の悪いケースもあります。

これは会社登記管理条例、企業情報公示暫定条例、企業経営異常名簿管理暫定弁法等により、年度報告を行っていない企業に対し、年度報告期限日から10日以内に「経営異常名簿」掲載を決定し公示するという規定に基づくものです。また深圳市では《深圳経済特区商事登記若干規定》(2012年発布、2021年3月修正発布)にて、企業の信用管理制度上、休業登記を行う企業を除き、登記住所若しくは経営場所で連絡が取れない等の場合に経営異常名簿に掲載するとしています。

第25条:商事主体が経営を休業する必要がある場合、商事登記機関にて休業登記(原文「歇业登记」)を行うことができ、休業登記期間中、商事主体は存続する。休業期間に商事主体が経営活動を回復する場合、回復前に商事登記機関にて休業終了登記手続きを行う。商事主体は休業期間満了の日から10日以内に商事登記機関にて休業終了登記手続きを行うものとする。

第26条:商事登記機関は国の規定に基づき商事主体に対し経営異常名簿、経営異常状態と厳重違法企業名簿等の信用監督管理制度を実行する。商事主体が第25条第2項、第3項の規定によらずに休業登記終了の手続きを取らない場合、商事登記機関は経営異常名簿への掲載或いは経営異常状態の表示を行うことができる。

第27条:商事主体は登記住所或いは経営場所で連絡が取れず経営異常名簿への掲載或いは経営異常状態が2年続き、且つ2年間納税申告していない場合、商事登記機関は除名の決定を行うことができる。(ここで「休業登記」についての規定があるが、現時点で外商投資企業にとり一般的ではないと思われる)企業情報公示システムに「経営異常名簿」掲載企業であることが公示されることは、企業の社会信用レベルを低下させ、或いは、政府の優遇措置の申請・入札や政府調達活動などにおいて制限を受ける可能性があります。

経営異常名簿掲載告知を受け取ったか、或いは経営異常名簿にすでに掲載される場合に、掲載告知に対する異議申請或いは住所変更登記申請が未了ならば変更登記手続き、若しくは経営異常名簿の移出申請を行う必要があります。

異議申請には、市場監督管理局の公示プラットフォーム上で異議申請提出後、異議申請関連の根拠資料を提出するなど、また経営異常名簿移出手続きも公示プラットフォーム上で異常原因に応じた関連資料(例:電話がつながらなかった原因説明や、経営場所の賃貸契約書等の証明資料等)を提出の上、必要な場合は現場検査等を受けて問題なければ、経営異常名簿からの移出が認められます。