中国 中国会計税務

[中国会計] 中国の国家統一会計制度(35)

主要な経済取引にかかる会計科目に関する記帳処理などを紹介していきます。今回は収益のうち、役務提供の収益認識について紹介します。紹介する内容は、基本的には企業会計準則(新準則)に基づきます。

1.提供労務収入(役務提供収益)の認識

役務提供については、同一の会計期間に役務提供が開始し、完了した役務は役務の完了時に収入認識をしますが、複数の会計期間に渡る場合には、収入を各期間に按分する必要があります。企業会計準則では、貸借対照日において、◇収入金額の算定に信頼性があること◇経済利益が企業に流入する可能性が高いこと◇取引の進捗(しんちょく)度が信頼性をもって確定できること◇取引において既に発生した原価および将来発生する原価が信頼性をもって測定できること――の4つの条件が満たされた場合に「役務提供取引の結果を信頼性をもって見積もることができる場合」とし、完工百分比法(工事進行基準)により役務収益を認識しなければならないとしています。
この条件を満たさない、すなわち、役務提供取引の結果を信頼性をもって見積もることができない場合には、発生した役務原価の回収が見込まれるものについては、役務原価と同額の役務原価収益を計上し、回収が見込まれないものについては、役務原価のみを計上し、役務提供収益は認識しないものとなります。

2.役務提供収益の金額

役務提供による総収入は、契約等に基づいた公正価値金額となり、その総収入に決算時の役務提供取引の進捗(しんちょく)度を乗じて算出した金額から、過去に認識した収益の累計金額を控除した金額を当期の収益とするとされており、進捗(しんちょく)度は以下のいずれかの方法を採用して計算します。
一.既に完了した業務を測定する方法
二.既に提供した役務の提供すべき役務の総量に占める割合により計算する方法
三.既に発生した原価の見積もり総原価に占める割合により計算する方法

3.役務提供収益認識の具体例と記帳処理

◇ 据付費用が商品販売の付帯条件である場合には、商品販売の実現時に収益を認識。
◇ 宣伝媒介料は関連する公告または商業行為が公表された時に収益を認識し、広告製作費は進捗(しんちょく)度に応じて収益を認識。
◇ 商品販売に含まれる区分可能なサービス料は、サービス提供機関にわたり収益を認識。
◇ 芸術公演やレセプションパーティーなどの特殊な活動による収益は、関連する活動が発生した時に収益認識し、複数の活動に関連する場合には各活動に合理的に配分。
◇ 入会費や会員費が会員資格となることのみで、その他のサービスは別料金である場合には、その金額の回収が確実になった時に収益を認識し、入会費や会員費により、会員が会員期間に各種サービスを受けられる場合には、その期間にわたり収益を認識。
◇ 顧客のために役務を長期にわたり繰り返し提供するサービス費は、関連するサービス活動が発生した時に収益を認識。
<例30> A社はB社と2014年12月1日にソフトウェア開発の契約(工期3か月、契約金額30万元)を締結した。
① 12月10日に手付金として15万元の支払いを受けた。
借:銀行存款(銀行預金)   150,000
  貸:預収チョウ款(前受金) 150,000
② 12月末までに支払った開発原価は12万元であった。
借:労務原価(役務原価)   120,000
貸:銀行存款(銀行預金)  120,000
③ 12月31日時点の開発進捗度は60%、以降の開発原価は6万元が見込まれる。
借:預収チョウ款(前受金)  150,000     
応収チョウ款(売掛金) 30,000
  貸:主営業収入(売上) 180,000
借:主営業務成本(売上原価) 108,000
貸:労務原価(役務原価) 108,000
※預チョウ款及び応収チョウ款のチョウは貝へんに長
売上:300,000×0.6-0=180,000
売上原価:(120,000+60,000) ×0.6-0=108,000