中国

中国・自由貿易試験区の更なる制度開放について

自由貿易試験区と海南自由貿易港の対外開放のため、条件を備える自由貿易試験区と自由貿易港が国際基準のビジネス環境を目指す制度体系の構築を目指す33項目の措置*1が6月1日付で公布されています。各地の自由貿易試験区・自由貿易港所在地の人民政府は、具体的な意見文書、弁法、細則、方案の制定を、本文書の発布の日から1年以内に完成させることとされています。措置の内容を紹介します。

一 貨物貿易

1. 試行地域で重点業種が再製造製品*1の輸入試行を行うことを支援する。対象の輸入商品については中古製品の輸入制限規定を適用しないが、同等の新品の技術要求(品質、安全環境性能等を含むがこれに限らない)を満たすものとする。試行地区は自身の試行案に沿って輸入製品リスト及び適用する具体的な標準、要求、検査合格プロセス及び監督管理措置を明確にする。関連部門は試行案の提出を受けた後、6か月以内に共同研究を経て決定する。関連部門と試行地区は、試行政策に乗じて外国の廃棄物や中古品の輸入が行われないよう再製造製品輸入に関する監督管理を強化する。(適用範囲:上海、広東、天津、福建、北京自由貿易試験区、及び、海南自由貿易港。以下、特に注記する場合を除き同様とする)

2. 臨時輸出修理後、再輸入時に試行地域に搬入される航空機、船舶(関連部品を含む)は、付加価値を有するかどうかを問わず、関税を免除する。航空機とは試行地区を主要な運航基地とする航空会社の運航する航空機とし、船舶は試行地区に登録登記し且つ独立法人資格を有する船舶運営会社の運営する、試行地区内の港を船籍港とする船舶(適用範囲:海南自由貿易港)

3.  国外から臨時輸入され試行地区に搬入され修理する貨物の再輸出時、関税を免除する。再輸出せず国内で販売する場合、規定に沿って関税を徴収する。(適用範囲:海南自由貿易港)

4. 国外より試行地区に臨時輸入される以下の貨物について、輸入時の納税義務者が税関に対し担保を提供した後、輸入関税及び増値税・消費税の納付を暫定的に免除する。中国の規定に沿って入国した人員による業務の展開、貿易或いは専門活動に必要な専門設備(ソフトウェア、ニュース報道、映画の撮影、テレビ番組に使用する機器・設備・用品等)、展示等に用いる貨物、商業サンプル、広告動画と録音、スポーツ大会、公演或いは訓練等に必要な体育用品。これらの貨物は輸入の日から6か月以内に再輸出するものとし、国内では販売或いは賃貸等の商業目的に使用してはならない。再輸出期限を延長する場合、規定に基づき延長申請を提出する。

5. 試行地区の税関は原産地証明書に印刷誤り、誤字など重要情報ではない誤りや文書間の微細な差異によって優遇関税の付与を拒絶してはならない。

6. 税関の事前裁定*2の申請者は、事前裁定の依拠する法律、事実と情況に変化が無い前提で、試行地区の税関に対し期限の更新申請を行うことができ、税関は期限までに速やかに決定を下す。

7. 関連税関監督要求に符合し且つ必要な検疫手続きを完了している前提で、試行地区の税関より通関が必要とされている航空郵送便貨物に対し、正常な情況においては6時間以内に通過させる。

8. 関連規定に符合し且つ必要な検疫手続きを完了している前提で、試行地区の税関は、すでに到着し且つ通関情報が全て提出されている貨物に対し、可能な限り48時間以内に通過させる。

9. 貨物到着前(到着時を含む)関税、その他輸入段階の税及び費用が未確定であるが、その他の通過条件に符合する場合で、且つ税関に担保或いは紛争支払手続きを履行している場合、試行地区の税関は通過させることができる。

10. 試行地区において、関連部門が認可したか或いはその他の方式で国外評価機構の検査に合格している場合、国内評価機構と同等の手続き、標準、その他条件を適用しなければならない。国外評価機構が国内で法人資格を取得或いは代表機構を設立することを認証結果或いは認証関連の検査・検測結果の条件にしてはならない。

11. 試行地区において情報技術設備製品を輸入する場合、関連部門はサプライヤーが符合性声明をEMC規格或いは技術法規の明確な保証とすることを認めなければならない。

12. 試行地区において、ラベル中にワイナリー、クラシックヴィンヤード、シルキー、パミス、ファイン、レイトヴィンテージ、ノーブル、リザーブ、ルビーレッド、スペシャルコレクション、ソレラ、スペリオール、シュール・リー、タウニーポート、ヴィンテージまたはヴィンテージキャラクター等の記載・表示のあるワインを輸入することができる。

二 サービス貿易の自由化

13. 特定の新金融サービスを除き、中資金融機関が新しい金融サービスを展開することを認める。試行地区内の外資金融機構が同種のサービスを展開することを認可すべきである。金融管理部門は職権に基づき同種のサービスを展開できる金融機構の類型及び機構の性質を確定することができ、且つこれらのサービスを展開するには許認可を要求することができる。金融管理部門は合理的な期限内に決定を行い、慎重を期するために許可しないことができる。

14. 試行地区の金融管理部門は内外一致原則に基づき、国外金融機構、その投資者、クロスボーダー金融サービス提供者の合法で資料が揃っている申請の受理後、120日以内に決定を下し、且つ適時に申請者に通知する。もし上述期限内に決定できない場合、金融管理部門はただちに申請者に通知し、且つ合理的な期限内に決定を下すことに努めなければならない。

15. 試行地区に登録する企業、試行地区において勤務或いは生活する個人が法に基づき金融サービスの越境購買を行うことを認める。国外金融サービスの具体的な種類については金融管理部門より別途規定するものとする。

16. 国外の専門家が試行地区の企業と住民に専門サービスを提供することを奨励し、試行地区において国外専門家能力評価手続き制度を構築することを支援する。

三 ビジネスパーソンの臨時入境

17. 試行地区の外商投資企業の内部異動で入境する専門家に随行する配偶者及び家族も、専門家と同等
の入境及び臨時停留期限を享受することを認める。

18. 試行地区に分公司或いは子会社の設立を予定する外国企業の高級管理人員が、その臨時入境停留有効期限を2年まで緩和し、且つ随行する配偶者及び家族も同等の入境と臨時停留期限を許可する。

四 デジタル貿易の健全な発展を促進

19. 大衆市場ソフトウェア(重要情報基礎施設のソフトウェアを含まない)の輸入、卸売り、販売或いは使用に対し、関連部門はその譲渡或いは企業、個人の保有する関連ソフトウェアのソースの譲渡或いは獲得を条件として要求してはならない。

20. 試行地区が消費者権利保護制度を整備することを支援し、消費者がオンライン取引や商業詐欺により
損害を被る詐欺行為を禁止する。

五 ビジネス環境の優良化

21. 試行地区において真実で合法に外国投資に関わる所有権の移転が自由にでき、且つ遅延が無い情況を整備することを認める。資本出資、利益・配当・資本収益・特許権使用費、管理費、技術指導費或いはその他の費用。全部または一部の投資所得・清算所得。借入協議などの契約に基づく支払い。法に基づき獲得する補償或いは賠償。争議解決に発生する金額等。

22. 試行地区の調達者が単一調達方式で政府調達を行う場合、成約結果公告時に当該方式の採用理由を説明しなければならない。

23. 試行地区の経営主体による知的所有権申請と取得の公布に対し、主管部門は関連規定に基づき次の情報を公開する。検索と審査結果(関連する既存技術の検索に関する詳細或いは情報等を含む)、申請者の非秘密保持意見、申請者と関連する第三者の提出した文書。

24. 試行地区の人民法院は経営主体の提出した知的所有権関連の救済請求に対し、申請人が合理的に獲得した証拠を提出し、初歩的にその権利に対し侵害を受けた或いは受けるであろうことを証明できる場合、相手の当事者の陳述をまず聴取することなく関連の司法規則により速やかに関連措置を採らなければならない。

25. 試行地区の関連部門が不正競争行為の疑いで調査する場合、調査対象の経営者を指導すべきであり、自主的に危害を消去或いは軽減した場合、法に基づいて行政処罰を軽減或いは与えない。

26. 試行地区内の企業、商業組織、非政府組織等が環境影響の自主的メカニズム(監査報告、市場奨励措置、情報と専門知識の共有、政府・社会との資本合作を含む)を構築することを支持し環境影響評価標準の制度制定・修正を奨励する。

27. 試行地区内企業が自主的に環境領域の企業社会責任原則に従うことを支援する。関連原則は中国及び国際標準・指南と一致するものとする。

28. 試行地区の労働人事争議仲裁機構が規範的、適時に書面形式で当事者に仲裁採決を提供し、法に基づき公開することを支持する。

六 リスク対策制度の改善

29. 試行地区は重大リスクの識別と予防対応制度を構築すべきであり、商務部は関連部門と協力・指導し、各種リスク分析研究を強化し、リスク排斥、モニタリングとアラートを強化する。

30. 安全評価メカニズムを整備し、商務部は関連部門と適時進捗フォロー、外部環境の変化と国際局面の動向に伴って、新たな情況や問題に対して分析評価を行い、リスクの程度に基づき調整、猶予或いは終了等の措置を採り、試行地の措置実施を絶えず進化させる。

31. リスク解決、防止措置の洗練化、制度、管理技術を備えた安全防護体系を構築する。

32. リスク対応責任を明確化し、関連改革推進する地方の責任主体は、リスク対応措置を構築し、安全生産責任制を整備する。関連部門は指導監督を強化し職責に基づき管理監督する。

33. 事前・中・後の監督を強化する。監督管理規則を整備し、方式を刷新し、共同監督管理を強化し、権利義務を明確化し、公平公正、公開透明、簡素高効率の監督管理体系を作り、市場、品質、安全、金融監督管理等を推進する。

*1: 国務院印刷発布《条件を備える自由貿易試験区と自由貿易港の試行地が国際基準に合わせた制度開放を推進する若干措置についての通知》