中国
[全訳] 国際貿易における試験的人民元決済管理弁法
中国人民銀行、財政部、商務部、税関総署、国家税務総局、中国銀行業監督管理委員会
≪国際貿易における試験的人民元決済管理弁法≫
公告[2009]第10号(原文)
中国人民銀行、財政部、商務部、税関総署、税務総局、銀行監督委員会は、共同で≪国際貿易における試験的人民元決済管理弁法≫を制定して、ここに実施を公布する。
国際貿易における試験的人民元決済管理弁法
第1条 貿易の利便性を向上させ、国際貿易における人民元決済の試験的実施を順調に運用することを保障するため、試験的企業と商業銀行の行為を規範化させ、関連する業務のリスクを未然に防止するため、≪中華人民共和国中国人民銀行法≫等の法律や行政法規に基づき、本弁法を制定する。
第2条 国家は、指定対象である条件を整えた企業が、自身の意思を以て行う人民元での国際貿易決済を認め、商業銀行が企業に対して提供する国際貿易の人民元決済サービスを支持する。
第3条 国務院が承認する試験的地域での国際貿易における人民元決済に対しては、本弁法を適用する。
第4条 試験的地域の省級人民政府は、当地の関連部門と協力して国際貿易人民元決済の試験的企業推薦に責任を負い、中国人民銀行は財政部、商務部、税関総署、銀行監督委員会等の関連部門と共に審査を行い、試験的企業名簿を最終的に決定する。試験的企業の推薦を行う際は、試験的企業とその法定代表人の真実の身分を確認しることを要し、試験的企業の登記登録での実名を確実に保証して、国際貿易人民元決済の各項規定を遵守しなければならない。試験的企業が国家関連規定に違反した場合、法による処罰とその試験的企業の資格を取り消しが行われる。
第5条 中国人民銀行はマクロ的調整とシステムリスク防止の必要性に応じて、国際貿易における試験的人民元決済に対して、総量コントロールを行うことができる。
第6条 試験的企業と国外企業が行う人民元決済の輸出入貿易は、香港・マカオ地区の人民元業務清算行を通じた国際貿易で発生する人民元資金の決済や清算を行うか、国内の商業銀行が国外の商業銀行に代わって人民元資金の域内外決済と清算を行うことができる。
第7条 中国人民銀行と香港金融管理局、マカオ金融管理局の認可を経て、中国人民銀行の高額支払システムへ加入して、且つ香港・マカオ人民元清算業務を行っている商業銀行は、香港・マカオの人民元清算銀行として、国際貿易人民銀決済と清算サービスを提供することができる。
第8条 試験的地域内で国際決済業務能力を有する商業銀行(以下、「国内決済銀行」とする)は、国際貿易の人民元決済に関する規定を遵守して、試験的企業のために国際貿易の人民元決済サービスを提供することができる。
第9条 試験的地域内で国際決済業務能力を有する商業銀行(以下、「国内代理銀行」とする)は、国際貿易の人民元決済への国外参加銀行(以下、「国外参加銀行」とする)と人民元代理決済協議を締結することができ、人民元の銀行間取引口座を開設して、国外参加銀行に代わって国際貿易での人民元支払を行うことができる。国内代理銀行は規定に従い、人民元代理決済協議と人民元の銀行間取引口座に関して中国人民銀行の当地分枝機構へ届出なければならない。
第10条 国内代理銀行は、国外参加銀行が開設する預金口座に対して、最低預入金額要求を設定することができ、国外参加銀行のために預入資金両替サービスを提供することができる。
第11条 国内代理銀行は、国外参加銀行の要求に従って、限度額内で人民元の売買を行うことができる。売買限度額は中国人民銀行により決定される。
第12条 国内代理銀行は、そこに人民元銀行間取引口座を有する国外参加銀行の臨時的口座資金需要に用いるため、人民元融資口座を提供することができる。融資限度額と期限は、中国人民銀行により決定される。
第13条 香港・マカオ人民元清算銀行は、中国人民銀行の関連規定に従い、国内銀行間外国為替市場や銀行間短期借入市場で人民元と短期資金を両替することができる。人民元と短期資金の両替限度額や期限等は中国人民銀行により決定される。
第14条 国内決算銀行は関連規定に基づき、人民元貿易融資サービスを逐次提供することができる。
第15条 人民元国際収支は、真実で合法的な取引という基礎を有する必要がある。国内決済銀行は、中国人民銀行の規定に基づき、取引書類の真実性と人民元収支との一致性に対して合理的な審査を実行しなければならない。
第16条 国内決済銀行と国内代理銀行は、マネーロンダリング防止とテロへの資金提供に関する規定に従い、有効な措置を講じた上で、顧客情報やその取引目的、取引の性質を把握して、実際に顧客に対して統制を行う自然人や取引の実際受益者を調べ、顧客の身分資料や取引記録を適切に保管して、各種取引の詳細な情況を再現できるように確保しなければならない。
第17条 人民元決済を用いる輸出貿易は、関連規定に従い、輸出貨物の税金還付(免除)政策を享受する。具体的な輸出貨物に対する税金還付(免除)管理弁法は、国務院税務主管部門が制定する。
第18条 試験的企業が行う国際貿易人民元決済は、外貨消し込み管理に組み入れず、通関や輸出貨物の税金還付(免除)手続きを実施時にも、外貨消込証明書を提出する必要がない。国内決済銀行と国内代理銀行は、税務部門の要求に従い、法律の範囲内で、税務部門への試験的企業が行う国際貿易人民元決済に関する数値や、資料を提供しなければならない。
第19条 試験的企業は、国際貿易人民元決済に関する貿易の真実性を確保し、国際貿易人民元決済台帳を作成して、輸出入通関情報や人民元資金収支状況を正確に記録しなければならない。
第20条 国際貿易人民元決済項目が影響を及ぼす国際収支取引に対して、試験的企業と国内決済銀行は、関連規定に基づき、国際収支統計申告手続きを行わなければならない。国内代理銀行が人民元の売買取引を行う場合、規定に基づいて、人民元の売買統計を取らなければならない。
第21条 国際貿易項目に関する居住者の非居住者に対する人民元負債は、外債統計観測の関連規定に従い、暫定的に登記手続きを行う。
第22条 中国人民銀行は、人民元の国際貿易収支情報管理システムを構築して、試験的企業の人民元国際貿易決済に関する各種情報を全て収集した上で長期間保管して、毎日の総量を整合、照合して、人民元国際貿易収支情報に対して統計、分析、観測を行う。国内決済銀行と国内代理銀行は、中国人民銀行の関連要求に従い、人民元国際貿易収支情報管理システムに接続して、人民元国際貿易収支状況を報告しなければならない。
第23条 試験的企業が、貨物輸出後210日を経過しても、人民元貨物代金を国内に回収していない場合、5営業日以内にその国内決済銀行を通じて人民元国際貿易収支情報管理システムへ当該貨物の未収金額と対応する輸出通関証明書番号を報告した上で、当該国内決済銀行へ関連資料を提供しなければならない。
試験的企業が、輸出による人民元収入を国外で預ける場合、その国内決済銀行を通じて中国人民銀行の主管分枝機構に届出を行い、且つ人民元国際貿易収支情報管理システムへ国外に預ける人民元資金金額、預入銀行、口座番号、用途や対応する輸出通関証明書番号等情報を報告しなければならない。
試験的企業は、国内決済銀行の一つを選んで、その国際貿易人民元決済の主報告銀行としなければならない。試験的企業の主報告銀行は、試験的企業が行う上述の情報報告や届出義務の履行に関して、指導を行う責務を有する。
第24条 中国人民銀行は、国内決済銀行や国内代理銀行、及び試験的企業が行う国際貿易人民元決済業務の状況に対して、検査と監督を行う。国内決済銀行や国内代理銀行、試験的企業に関連規定に違反する状況が見つかった場合、法に依る処罰を行う。
試験的企業の国際貿易人民元決済に関する法律法規違反情報は、正確に全ての情報を、適宜に中国人民銀行企業信用情報基礎データベースへ登録して、税関や税務等部門とも共有しなければならない。
第25条 中国人民銀行と香港・マカオ人民元清算銀行が、「人民元業務に関する清算に関する協議」に対する改正を話し合う場合、香港・マカオ人民元清算銀行が提供する国際貿易人民元決済と清算サービスに対する内容を明確化する。
中国人民銀行は、香港金融管理局やマカオ金融管理局と合作覚書を締結して、各自職責の範囲内において、香港・マカオ人民元清算銀行が行う国際貿易人民元決済と清算業務に対して監督管理を行うことができる。
第26条 中国人民銀行は、財政部、商務部、税関総署、税務総局、銀行監督委員会、外貨管理局等の関連部門と、必要な情報の共有と管理体制を構築して、事後検査の徹底に重点を置いた上で、国際貿易における試験的人民元決済業務に対する有効な監督管理体制を整える。
第27条 本弁法は公布日より施行する。
中国人民銀行
財政部
商務部
税関総署
国家税務総局
中国銀行監督管理委員会
二〇〇九年七月一日