中国

[実務入門] (30) 持分投資 (1)

今回は、持分投資と、中国会計上の「連結」「持分法」の概念を簡単に確認していきます。

1. 投資勘定

  • 中国現地法人が出資をして新たに子法人を作る場合
  • 子法人ではなく少数持分割合の出資をする場合
  • 既に設立されている法人の持分譲渡を経て持分を取得する場合

などなど、様々なケースで「長期持分投資」をする場合、その取得のために要した原価を「長期持分投資」に計上します。

本記事は、現在NNA.ASIAで連載中の「ここに注目!中国会計・税務実務入門」を転載したものです。

「長期持分投資」とは「企業会計制度」において「保有期間が1年を超える(1年を含まない)予定の各種の持分の性質を有する投資」と定義されています。
このような投資が存在する場合、長期持分投資は単独で処理し、貸借対照表上独立項目として表示する必要があります。

2. 持分法と財務諸表


企業がその他の企業に対して長期持分投資を保有するとき、次の場合にはその保有企業はその長期持分投資を「持分法」を採用して処理する必要があります。

  • 投資が、当該企業の議決権・持分を有する資本金総額の20%以上を占める場合
  • 投資が20%未満であっても、重大な影響力を有する場合

次の場合には、その保有企業はその長期持分投資を「原価法」を採用して処理する必要があります。

  • 投資が、当該企業の議決権・持分を有する資本金総額の20%未満である場合
  • 投資が20%以上であっても、重大な影響力を持たない場合

「持分法」の処理の概要については次回説明します。「原価法」は減損の兆候がないなど通常の場合には、取得原価をもって貸借対照表に計上する方法になります。

今回強調したい点としては、これが企業個別(いわゆる「単体」)の財務諸表上で行われる処理だということです。次項と比較してください。

3. 連結財務諸表


中国国内において1社以上の子会社を有する親会社が、親会社と子会社から形成する企業集団の経営成績、財政状態を反映するために連結財務諸表を作成します。連結財務諸表とは、親会社及びそのすべての子会社からなる企業集団全体の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローを反映する財務諸表をさし、親会社が連結財務諸表を作成する必要があります。

「企業会計準則」上では連結財務諸表の連結の範囲は、支配を基礎として確定しなければならないとされ、支配とは一方の企業が他の企業の財務及び経営方針を決定することができ、かつこれにより他の企業の事業活動から利益を獲得することができる権限をさす、とされています。50%のような、持分比率に関する明示はありません。
大まかに言って、連結財務諸表の作成は以下のような手順で行われます。
(1)親会社の子会社の財務諸表を単純に合算する。
(2)親会社の出資と子会社の資本を相殺消去する(資本連結)。
(3)親子会社間の内部取引・債権債務を相殺消去する。

今回強調したいのは、これが企業個別の財務諸表で行われる処理ではなく、新たな連結財務諸表という財務諸表を作成する処理だということです。

次回は簡単に持分法と連結財務諸表の実例について確認します。

(※弊社はこの情報内容に基づく意思決定に対して一切の責任を負いません。意思決定に際しては、顧問会計事務所等の専門家にご相談いただくようお願いいたします)