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[まとめ] 外国人の中国社会保険加入に係る実務規定(草案)
2010年10月度に公布された社会保険法において、中国で就業する外国人の中国社会保険加入義務が明文化されました。その後、新社会保険法の施行日である7月が迫ってきても実施細則等が公布されず、外国人の社会保険加入義務について不明瞭な状態が継続しておりましたが、先日パブリックコメントの形式で外国人の社会保険加入に係る規定草案が公布されました。
規定内容
(1)対象となる外国人
「外国人就業証」等の合法的な就業証明書を保有して中国内で就業する外国人が社会保険加入の対象となります。また、駐在員事務所や分公司のような法人格を具備しない事業所で勤務する外国人も社会保険加入義務を有します。
(2)社会保険の種類
中国人と同様に、全ての社会保険加入が義務付けられます。具体的には、以下の社会保険となります。
- 基本養老保険(年金)
- 基本医療保険
- 労災保険
- 失業保険
- 生育保険
(3)基本養老保険の還付
中国を離れる場合、納付した養老保険の個人負担金額部分を還付することが認められています。当該還付に関しては、中国の年金受給資格最低加入期間(15年)を満たさない状況でも申請することが可能であるものと思われます(日本社会保険の外国人脱退一時金に相当)。但し、企業負担として納めた部分に関しては、恐らく還付を受けることはできないものと考えます。
(4)確認必要事項
上述の、基本養老保険還付条件の他にも、以下のような不明瞭な点が若干残っているため、実際の規定公布、及び各地社会保険局や地方税務局(社会保険料徴収機関)からの実務細則等を待つ必要があります。
- 社会保険料の計算対象給与に国外支給給与を含むか否か
- 具体的な加入、帰任手続き等
- 中国国内複数法人での業務を兼務する場合、社会保険料率や基礎金額が異なる状況に対して地域を選択できるか否か
※社会保険料の徴収は地方税務局により行われるため、恐らく個人所得税申告と同様に国外給与所得も含むものと思われます