インドネシア 税務
インドネシア・Debut Equity Swapについて
インドネシアでは過小資本税制があり、負債が資本と比率で一定の比率(4:1)を超えると負債に関わるコストを税法上の費用として取り扱う事が出来なくなります。
そのため、現地法人が親会社とのローン(親子ローン)を汲んでいる場合、ローンを資本に取り込むことが検討されます。これはDebut Equity Swap(DES)と呼ばれ、債務の資本化と言われます。
昨今、オムニバス法の施行や外資規制規則の改定、外資法人の払込資本額の明文化も伴い、税法上の資本負債比率の改善や債務超過解消を理由とするDESと共に、払込資本金の充足、移転価格税制の関係からも、親子ローンを組んでいる現地法人においてDESを検討する企業が増加しています。
DESを行う事で、債務者側の現地法人は利息の負担軽減によるキャッシュフロー・財務体質の改善、登記資本金額が増えることによる信用力の向上、払込資本金100億ルピアの充足、外貨借入に伴う中央銀行報告の事務軽減、親子会社間ローン利率の税務署からの指摘回避、返済不能の際の債務免除益を税計算においてヒットさせないなどのメリットがあります。親会社側も子会社の財務体質の改善、利益が出た場合の配当の増加、持株比率が高まることによる経営参画の強化などのメリットがあります。
一方で、デメリットとしては本社にとっては貸付金が株式となることから利息収入が無くなり利益が出た際の配当しか受領出来ないということなどの性質上のデメリットがあります。また、税務上、債務と資本の額が一致しないと評価された場合には、債務が大きいとみなされた場合には差額を免除益として法人税課税、資本が大きいとみなされた場合には利息扱いとして源泉税課税と取り扱われる場合があります。
これらを避けるために、実際の資金を移動させる疑似DES手法が利用されます。この手法は親会社から増資を行い、実際に増資資金を送金した後に、債務返済を行う資金が往復する形のDESです。上記税務上のリスク会費と登記実務の煩雑さを回避するために利用される手法ですが、この手法をとったとしても増資と債務返済までの期間が短いことで実質的には純粋DESと税務上評価される可能性や、実際に資金が往復することから送金手数料等が掛かるなどの点には注意が必要です。