中国 企業所得税

[全訳] 固定資産の加速減価償却に関する所得税処理の関連問題に関する通知

国家税務総局
企業固定資産の加速減価償却に関する所得税処理の関連問題に関する通知 [原文]
国税発[2009]81号

各省、自治区、直轄市、計画単列市国家税務局、地方税務局:

≪中華人民共和国企業所得税法≫(以下、「企業所得税法」とする)、及び≪中華人民共和国企業所得税法実施条例≫(以下、「実施条例」とする)の関連規定に基づき、企業固定資産の加速減価償却実行に伴う所得税処理問題に関して以下のように通知する。

一、≪企業所得税法≫第32条、及び≪実施条例≫第98条の関連規定に基づき、企業が生産経営に使用するために所有する主要、且つ中心的な固定資産において、以下の原因により加速償却が必要となることが確実となった場合、減価償却年数の短縮、或いは加速減価償却の方法を採用することができる。
(一)技術の進歩により、製品のモデルチェンジが速い固定資産
(二)常に強い震動の状態に置かれ、腐食の状態が発生し易い固定資産

二、企業が所有して使用する固定資産が、本通知第1条規定に符合する場合、以下の状況ごとの処理をすることができる。
(一)企業が過去に、当該固定資産の機能と同等、又は類似する固定資産を使用したことがないが、当該固定資産の見積耐用年数が≪実施条例≫に規定する減価償却計算の最低年数より短いことを証明する十分な証拠を有する場合、企業は当該固定資産の見積耐用年数と本通知規定に基づいて、当該固定資産に対して減価償却年数の短縮、或いは加速減価償却の方法を採用することができる。
(二)企業の有する固定資産が≪実施条例≫に規定する最低減価償却年数に達する前に、機能が同等か類似する新たな固定資産を旧固定資産の代わりとして使用する場合、企業は旧固定資産の実際使用年数と本通知規定に基づいて、新たな固定資産に対して減価償却年数の短縮、或いは加速減価償却の方法を採用することができる。

三、企業が減価償却年数の短縮を採用する場合、その新たに購入する固定資産に対する最低減価償却年数は≪実施条例≫第60条で規定する減価償却年数の60%を下回ってはならない。また、購入する固定資産が中古であるならば、その最低減価償却年数は、≪実施条例≫で規定する最低減価償却年数から既使用年数を控除した残余年数の60%を下回ることはできない。最低減価償却年数を一旦決定したならば、原則として変更は認められない。

四、本通知第1条の規定条件に合致する固定資産を企業が所有して使用しており、当該固定資産に対して加速減価償却方法を採用する場合、倍額残高逓減法、或いは級数法を採用することができる。加速減価償却の方法は、一旦決定したならば、原則として変更は認められない。
(一)倍額残高逓減法とは、固定資産の見積残存価額を考慮せず、毎期首の固定資産原価から減価償却累計額を控除した後の金額を基準として、定額法の二倍の減価償却率を以て固定資産の減価償却額を計算する方法である。この方法を用いて減価償却額を計算する場合、年初の固定資産純価額から見積残存価額を控除しないため、固定資産の減価償却額を計算する際、その減価償却期間が満了する前の二年間は、固定資産の純価額から見積残存価額を控除した後の残余価額を均等償却することとなる。計算公式は以下のようになる。
年減価償却率=2÷見積耐用期間(年)×100%
月減価償却率=年減価償却率÷12
月減価償却額=月初の固定資産帳簿純額×月減価償却率
(二)級数法(又は、年限合計法)とは、固定資産の原価から見積残存価額を控除した後の残余価額に、固定資産の使用可能残余年数を分子、見積使用可能年数までの全数値の和を分母として、毎年逓減する分数を乗じることによって、毎年の減価償却額を算出する方法をいう。計算公式は以下のようになる。
年減価償却率=使用可能残余年数÷見積耐用可能年数までの年数総和×100%
月減価償却率=年減価償却率÷12
月減価償却額=(固定資産の減価-見積残存価額)×月減価償却率

五、企業が固定資産に対して減価償却年数の短縮、或いは加速減価償却方法を採用する必要があることが確実となった場合、当該固定資産を取得後1ヵ月以内に、その企業所得税主管税務機関(以下、「主管税務機関」とする)へ以下の資料を提出して、届出を行わなければならない。
(一)固定資産の機能、見積耐用年数が≪実施条例≫で規定する減価償却計算の最低年数より短くなる理由、証明資料及び関連する状況の説明
(二)代替された旧固定資産の機能、使用および処置等の状況説明
(三)固定資産の加速減価償却に採用しようとする方法と減価償却額の説明
(四)主管税務機関が提出を要求するその他資料
企業主管税務機関は、企業所得税の年度納税評価時に、企業が加速減価償却を採用する固定資産の使用環境や状況について実地検査を行わなければならない。加速減価償却の規定条件に合致しない固定資産に対しては、企業に当該固定資産の加速減価償却を停止するよう要求する権利を、主管税務機関は有している。

六、減価償却年数の短縮を採用した固定資産が、減価償却計上完了後も継続して使用され処置(廃棄状態等も含む)がなされずに12ヵ月が経った場合、今後それに代わる、又は改造改修して同等か類似する機能を有する固定資産に対しては、減価償却年数の短縮を再度採用することはできない。

七、企業が減価償却年数の短縮、或いは加速減価償却の方法を採用している固定資産について、主管税務機関は相応の税収管理台帳を設置の上で、経過監督管理を実施して監督を強化しなければならない。≪実施条例≫第98条、及び本通知規定に符合しない状況を発見した場合、主管税務機関は適宜に企業に対して納税調整を実施するよう指示する責任を有する。

八、総機構、分枝機構での合算納税を適用する企業が、属する分枝機構が使用する≪実施条例≫第98条、及び本通知規定の状況に合致する固定資産に対して減価償却年数の短縮、或いは加速減価償却の方法を採用する場合、総機構がその所在地主管税務機関へ届出を行う。分枝機構の所在地主管税務機関は、総機構の所在地主管税務機関と共に経過監督管理を実施する責務を有する。

九、本通知は、2008年1月1日より施行する。

国家税務総局
二○○九年四月十六日