香港 国際会計税務・相続
1兆円超の巨額遺産相続をめぐって遺族と風水師が遺言書法廷闘争(香港)
香港有数の不動産開発グループ「華懋(チャイナケム)」の会長で大富豪だった故・王如心(英名ニナ・ワン)さんの遺産をめぐる法廷闘争が、先月(2009年9月21日)、香港の裁判所で再開した。
ニナワンさんは、2007年4月にがんにより69歳で亡くなったが、一時は「アジアで最も裕福な女性」と言われ、遺産の推定総額は1000億香港ドル(約1兆2500億円)ともいわれている。ニナワンさんには子供はいなかった。
この巨額遺産の唯一の相続人として名乗りを上げているのが風水師で愛人でもあったとされるトニー・チャン氏。
チャン氏の根拠は、2006年に作成されたとする「遺言書」であるが、これに対し、ニナワンさんの遺族が運営するチャイナケム慈善財団が、トニー・チャン氏がもつ遺言書は書名が偽造されたものとして、2007年11月香港で裁判を起こしていた。
また、ニナワンさんの遺族側は、2002年にすでに遺産の大半を慈善事業に使うために同財団に贈る旨の遺言書を作成しており、これが最終的かつ有効なものだと出張している。
香港有数の事業家・資産家であり、ミニスカートにお下げ髪といった奇抜なファッションでも有名だったニナワンさんであるが、実は生前も、夫の故テディー・ワン元会長の遺産をめぐって、8年間にわたり、夫の実夫と法廷で争いを繰り広げた過去をもつ。
この裁判では、夫の実夫側が「ニナワンさんが遺言書を偽造した」として訴えていた。夫のワン氏は、1990年に誘拐され、行方不明のまま9年後に法的に死亡が宣告され、ニナワン氏が、夫の会社だったチャイナケムを引き継ぎ不動産業界の一大グループにのし上げた。
お金、富豪、誘拐、家族不和、不動産、ファッション、愛人、風水、裁判、、、生前中も故人となっても、格好のネタを提供するニナワンさんには、今日も香港のマスコミが追い続ける。