香港 M&A
[M&A] 投資社テマセク、香港ワトソンに25%出資
政府系投資会社テマセク・ホールディングスは21日、アジアを代表する大富豪、李嘉誠会長が率いる香港のコングロマリット(複合企業)ハチソン・ワンポア傘下で、ドラッグストア「ワトソンズ」などを運営する流通大手ASワトソン・ホールディングスの株式24.95%を取得すると発表した。取得額は440億HKドル(約5,800億円)となる。
テマセクは、小売り業界での投資を拡大し、アジアの中間層による消費拡大の利益を取り込みたいと説明している。ASワトソンは、世界最大の国際的医療・美容小売店で、14ブランドの店舗を1万500店展開している。中核となるワトソンズは香港や中国、シンガポール、台湾、マカオ、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピンで4,000店以上ある。
テマセクの投資グループを統括するチア・ソンフウィー氏は、「ASワトソンに出資することで、ハチソン・ワンポアと長期的なパートナーになる」と強調。新興国市場で中間層人口が拡大しており、消費者向けの小売業の成長が見通せると述べている。
香港の上場規定では、25%未満の出資に関しては株主の承認は不要という。残る75.05%はハチソンが保有する。ASワトソンの2013年12月期の純利益は前期比13%増の78億HKドルだった。香港各紙によると、テマセクは2人をASワトソングループの取締役会に派遣する予定。将来的にテマセクがASワトソンの株式を買い増す可能性について、ハチソンの李会長は「可能性はあるが、断言はできない」と含みを持たせた。
■分離上場は2~3年後に
また李会長はASワトソンのハチソンからの分離と上場について「2~3年内の上場の可能性を探る。上場先は香港とシンガポールを優先する」と明らかにした。李会長は2月28日に行ったハチソンの業績説明会の席上で、ASワトソンの分離上場について、「2カ所で上場する。うち1カ所は間違いなく香港だ」と説明していた。上場に向けた具体的な日程は明かせないとしたが、市場では上半期(1~6月)中にも上場するとの観測が浮上していた。ASワトソンは年内に香港取引所(HKEX)に上場し、調達額は90億~100億米ドル(約9,200億~1兆200億円)に達するとみられている。(NNA.ASIA)