中国 増値税

中国・広東省税務局による大規模設備更新及び消費財買換えの税収政策について

一、大規模設備更新税収政策

(1)環境保護、省エネ・節水、安全生産専用設備の購入設置に関わる企業所得税の源泉政策

  

内容

企業が環境保護、省エネ・節水、安全生産などの専用設備を購入し実際に使用した場合、これらの専用設備の投資額の10%を当年度の課税所得から控除することができる。当年度控除しきれない場合、以降の5年間で控除することができる。

対象

該当専用設備を購入した企業

条件

該当専用各設備のリストに符合する必要がある。

(2)環境保護、省エネ・節水プロジェクトの企業所得税三免三減

内容

環境保護、省エネ・節水プロジェクトに従事する企業の企業所得税について、プロジェクトの生産経営収入所属納税年度から起算し、第1年目~3年目を免税、第4年目~6年目を半減とする。

対象

条件に符合する環境保護、省エネ・節水プロジェクトに従事する企業

条件

《環境保護、省エネ・節水プロジェクト企業所得税優遇政策リスト》に該当するプロジェクト従事企業

(3)器具・設備の一括控除政策

内容

企業の2024年1月1日から2027年12月31日の間に新規購入した設備で、単位価値が500万元を超えない場合、一括して当年度の原価費用に計上し課税所得より控除、年度に分けて償却を計上しない。

対象

該当する設備の購入企業

条件

設備・器具には家屋、建築物を含まない。貨幣形式で購入するか自社で建造する固定資産

(4)固定資産加速償却政策

内容

2019年1月1日より、全ての製造業領域の企業の新規購入する固定資産について税法の60%を上限に償却年限を短縮するか、200%定率法或いは年数総和法で加速償却する方法を選択することができる。

対象

製造業企業

条件

《国民経済業種分類とコード》に規定される製造業

(5)増値税留保税額還付政策

内容
  1. 条件に符合する製造業、科学研究と技術サービス業、電力、熱、ガス及び水の生産及び供給業、ソフトウェアと情報技術サービス業、生態保護と環境産業、交通運輸、倉庫及び郵政業の企業は、2022年4月納税申告期間より新増加分の留保税額の還付を申請することができる。
  2. 上述業種の零細企業と中型企業は2022年5月申告期間より、大型企業は、同年6月申告期間より既存留保税額の還付申請ができる。
  3. 条件に符合する卸売・小売企業、農・林・畜・漁業企業、ホテル・飲食業、住民サービス、修理及びその他サービス、教育、衛生と社会業務、文化・体育・娯楽業は2022年7月申告期間より新増加分の留保税額について、また一括で既存の留保税額について還付申請ができる。
対象

上記に列記した業種の企業

条件
  1. 納税信用等級がA級或いはB級
  2. 還付申請前36か月の間に不正還付や虚偽発行等が無い。
  3. 還付申請前36か月の間に税務局より2回以上処罰されていない。
  4. 2019年4月1日以降即徴収即還付、先徴収後還付政策を享受していない。

 

(6)先進製造業企業の増値税加算控除政策

内容

2023年1月1日から2027年12月31日において、先進製造業企業が当期控除可能な仕入税額を5%加算して控除することを認める。

対象

先進製造業

条件

国、各地方政府の認定するハイテク企業(分公司も該当)中の製造業一般納税人を指す。

(7)集積回路及び工業機器製造企業(原文:工業母機企業)増値税加算控除政策

内容
  1. 2023年1月1日から2027年12月31日において、集積回路設計、生産、テスト、装備、材料企業の、当期控除可能な仕入税額を15%加算して控除することを認める。
  2. 同期間において工業機器、主要機能部品、コントロールシステムの製造販売企業で一般納税人は、当期控除可能な仕入税額を15%加算して控除することを認める
対象
  1. 集積回路設計、生産、テスト、装備、材料企業
  2. 《先進工業機器製品基本標準》に規定される製品を製造する工業機器企業
条件
  1. 政府管理部門のリスト掲載企業
  2. (1)研究開発人員人件費15%以上、(2)研究開発費用の収入比15%以上 (3)該当製品販売収入比60%以上、収入総額3,000万元以上。

(8)研究開発機構の設備購入時の増値税政策

内容

内資研究開発機構及び外資研究開発センターの国産設備購入に対し増値税を全額還付する。

対象

内資研究開発機構及び外資研究開発センター

条件

外資研究開発センターは独立した法人の場合投資額800万米ドル以上。会社内部或いは分公司の場合投入総額800万米ドル以上。研究人員80人以上。設立以来購入設置した設備2000万元以上。商務部門及び主管部門より資格認定されていること。

二、消費財買換え税収政策

(9)使用後の固定資産販売時の増値税減税政策

内容
  1. 増値税一般納税人が自己使用済みの固定資産販売時、簡易計算方法の3%徴収率を2%に減じて課税する。
  2. 小規模納税人(個人を除く)が自己使用済みの固定資産を販売する場合、2%の徴収率で課税する。
対象

一般納税人、個人を除く小規模納税人

条件

《増値税暫定条例》第10条に属する、仕入税額控除不可で未控除の固定資産

(10)中古貨物販売時の増値税減税政策

内容

納税人が中古貨物を販売する時、簡易計算方法の3%徴収率を2%に減じて課税する。

対象

中古貨物を販売する納税人

条件

中古貨物とは、再販売される一部使用価値を有する物品(中古車、中古バイク、中古船舶)但し自己使用済みのものを除く。

(11)自己使用済み物品販売時の増値税減税政策

内容

個人が自己使用済みの物品を販売する時、増値税を免除する。

対象

個人

条件

個人の使用済み物品であること。

(12)新エネルギー車の車両購入税減免政策

内容

2024年1月1日から 2025年12月31日の間に新エネルギー車を購入する場合、車両購入税を免除する。1台当たりの免税額は3万元を超えない。2026年1月1日から 2027年12月31日の間、同税金を半減とし、1台当たり1.5万元を超えないものとする。

対象

新エネルギー車を購入する納税人

条件
  1. 購入日は自動車販売統一発票或いは税関専用納付書等に記載の日付とする。
  2. 新エネルギー車には、純電動車、ハイブリッド車、燃料電池自動車を含み、技術要求は工業と信息化部等の制定に基づく。
  3. 新エネルギー乗用車は9人用以下を指す。

(13)中古車ディーラー企業による中古車販売時の増値税減税政策

内容

2020年5月1日から 2027年12月31日の間、中古車ディーラー企業の中古車販売時、元の簡易方法3%徴収率を2%に減じていた政策を、0.5%に減じて課税する。

対象

中古車販売に従事する納税者

条件

国家強制廃棄標準に達する前に取引され所有権を移管した車両

(14)中古車販売“逆方向発票発行”政策

内容

2022年10月1日より、備案済の自動車販売企業が自然人から中古車を買い取る場合に、企業より中古車販売統一発票を発行し、これにより移管登記手続きを行うことを認める。

対象

自然人より中古車を買い取る、備案済の自動車販売企業

条件

商務部門にて備案済の自動車販売企業が自然人より中古車を買い取ること。

三、リサイクル税収政策

(15)資源総合利用製品及び役務増値税即徴収即還付政策

内容

増値税一般納税人が自社生産の資源総合利用製品及び役務を販売する際、即徴収即還付政策を享受することができる。《資源総合利用製品及び役務増値税優遇目録(2022年版)》に準じる。

対象

再生資源回収に従事する増値税一般納税人

条件

納税人が再生資源回収時、販売者より発票を取得すること。免税適用の場合は普通発票とする。自然人等で発票発行不能の場合、入金証憑或いは代理発行発票、税関専用納付書等。

(16)資源総合利用企業の所得税優遇政策

内容

《資源総合利用企業所得税優遇目録》に該当する資源を主要原材料とし、非国家制限・禁止で国家及び業界関連標準に符合する製品を製造販売して取得した収入について90%に減じて収入を計上する。

対象

資源総合利用により製品を製造する企業

条件

《資源総合利用企業所得税優遇目録》該当製品であること。

(17)再生資源回収企業の増値税簡易徴収政策

内容

再生資源回収に従事する増値税一般納税人が買取る再生資源について、簡易計算方法の3%徴収率で課税するか、或いは一般計算方法で課税することを選択することができる。

対象

再生資源回収に従事する増値税一般納税人

条件

簡易計算方法を選択する場合、次のいずれかの条件を満たす必要がある。

  1. 危険廃棄物収集の場合、国家危険廃棄物経営許可証を取得している
  2. 車両スクラップ回収の場合、車両スクラップ企業資質認定証書を有している。
  3. 上記以外の場合、商務部門にて再生資源回収経営者備案を行っている。

 

(18)資源回収企業の“逆方向発票発行”政策

内容

2024年4月29日より、自然人の廃棄製品販売者が資源回収企業に廃棄物を販売する時、資源回収企業より販売者に発票(“逆方向の発票”)を発行することができる。廃棄製品とは社会生産と消費生活過程において発生したもので、一部或いは全部の使用価値が失われた製品。販売者とは、自己使用済みの廃棄製品を販売する者で、連続12か月に500万元を超えないこと。

対象

再生資源回収に従事する企業

条件

実際に資源回収業務に従事している企業で、次のいずれかを満たす。

  1. 危険廃棄物収集の場合、国家危険廃棄物経営許可証を取得している
  2. 車両スクラップ回収の場合、車両スクラップ企業資質認定証書を有している。
  3. 上記以外の場合、商務部門にて再生資源回収経営者備案を行っている。

関連規定

国家税務総局広東省税務局 「大規模設備更新と消費財買い換えの現行税収政策操作指南」(2024年7月10日発布)