中国
[全訳] 租税協定の「受益所有者」の理解・認定に関する通知
国家税務総局
租税協定にある「受益所有者」を如何に理解し、また認定するかについての通知
国税函[2009]601号(原文)
作成日付:2009-10-27
各省、自治区、直轄市と計画単列市国家税務局、地方税務局、揚州税務研修学院:
中華人民共和国政府が対外的に締結した二重課税回避協定(内地と香港、マカオと締結した租税取決めを含み、以下、租税協定とする)の関連規定に基づき、ここに締約相手の居住者が配当、利息及び特許権使用費等の条項で規定される租税協定待遇を申請する際に申請者の「受益所有者」の地位を如何に認定するかについて、下記の通り通知する。
一、「受益所有者」とは、所得、または所得の発生の依拠である権利或は財産に対して所有権と支配権を有する人を指す。「受益所有者」は通常、実質的な経営活動に従事し、個人、会社或はその他如何なる団体もなり得る。代理人、ペーパーカンパニー等は「受益所有者」に属さない。
ペーパーカンパニーとは、通常、租税の回避又は軽減、利益の移転或いは蓄積等を目的として設立される会社を指す。この種の会社は、法律が要求する組織形式を満たす組織形態を以って所在国で登記登録するに過ぎず、製造、販売、管理等の実質的な経営活動に従事しない。
二、「受益所有者」の地位を判定する際に、技術面或は国内の法的な視点のみから理解することはできず、租税協定の目的(即ち、二重課税の回避と脱税防止)を出発点とし、「形式より実質を重んじる」原則に従い、具体的な事例の実際状況をみながら分析及び判定をしなければならない。一般的に、下記の要素は申請者の「受益所有者」地位の判定に不利となる。
(一)申請者に、規定される期間(例えば所得を得てから12ヶ月)以内に所得税の全部若しくは殆ど全て(例えば60%以上)を第三国(地域)の居住者へ支払う義務がある。
(二)所得の発生の依拠である財産或は権利を有するほかに、申請者によるその他経営活動がない又はほとんどない。
(三)申請者が会社等の実体である場合、申請者の資産、規模及び配置人員が比較的小さく(或は少なく)、所得金額との整合性を取り難い。
(四)所得或は所得の発生の依拠である財産又は権利に対して、申請者は支配権或は処置権を持たない又はほとんど持たず、リスクも負担しない又はあまり負担しない。
(五)締約相手国(地域)は関連の所得に対して課税しない又は免税とし、又は課税するが実際の課税率がきわめて低い。
(六)利息の発生と支払の依拠である貸付契約以外に、債権者と第三者との間に、金額、利率及び締結日等の面で類似するその他貸付金或は預金契約が存在する。
(七)特許権使用費の発生と支払の依拠である版権、パテント、技術等の使用権譲渡契約以外に、申請者と第三者との間に、版権、パテント、技術等の使用権或いは所有権に関する譲渡契約が存在する。
異なる性質の所得に対して、上述の要素への総合的な分析を通じて、申請者が本通知の第一条規定に合致しないと認める場合、申請者を「受益所有者」と認定すべきではない。
三、納税者は租税協定待遇を享受することを申請する際に、その「受益所有者」地位をを証明できる本通知の第三条に列記される要素に関連する資料を提供しなければならない。
各地は非居住者による租税協定の関連条項の待遇の享受に関する申請を審査する際に、上述の規定に従い「受益所有者」の地位認定問題を処理しなければならない。必要となる場合、情報交換制度を通じて関連の資料を確認することができる。各地は具体的に執行するにあたって、適宜に経験を総括し、問題点を発見しなければならず、難解な事例については税務総局(国際税務司)まで報告し、解決を図ることができる
国家税務総局 二○○九年十月二十七日