中国 個人所得税

[全訳] 高所得者の個人所得税徴収管理強化に関する通知

国家税務総局 高所得者の個人所得税徴収管理強化に関する通知
国税発[2010]54号(原文
2010年5月31日

各省・自治区・直轄市・計画単列市の地方税務局、西蔵・寧夏・青海省(自治区)の国家税務局:

近年、我が国経済の急速な発展に従い、都市農村居住者の所得水準は断えず増加し、個人の所得格差は日増しに拡大している。税収の徴収管理を強化し、税収の所得再分配機能を充分に発揮させるため、ここに高所得者の個人所得税徴収管理強化に関する問題を以下の通り通知する。

一、高所得者の課税所得の監督管理

各地の税務機関は引き続き国家税務総局の個人所得税管理強化に関する業務の意図を確実に理解し、高所得者の個人所得税徴収管理の基礎を築く必要がある。

(一)各地区の高所得者税源分布状況の調査
各地では個人所得税の税源調査を行い、各地区の総合的経済水準・産業発展状態・居住者の所得源泉の特徴をまとめる。高所得者が相対的に集中する業種とグループを重点的に監視し、高所得業種の所得再分配の規律を調査し、高所得者グループの主要な所得源泉を掌握し、高所得者の所得源泉に関するデータベースを作成し、税収徴収管理システムを改善し、方向性を定めた個人所得税の徴収管理業務強化を行う。

(二)全員全額の源泉徴収明細申告管理の全面的な推進
1. 税務総局による全員全額の源泉徴収明細申告に関する手配と要求を確実に実施し、全員全額の源泉徴収明細申告管理を税務機関の業務評価体系に組み入れる必要がある。税務総局は不定期に抽出調査して状況を審査・通告する。
2. 源泉徴収義務者が《個人所得税法》第八条・《個人所得税法実施条例》第三十七条・《国家税務総局 〈個人所得税全員全額の源泉徴収申告管理暫行弁法〉の発行に関する通知》(国税発[2005]205号)の規定に従い、全員全額の源泉徴収申告を実施するよう督促する必要がある。
源泉徴収義務者がすでに全員全額の源泉徴収明細申告を実施している場合、主管税務機関は申告の品質を引き上げ、特に支払給与所得以外のその他所得(役務報酬所得等)、社外従業員への支払データ、費用控除標凖に達していない支払データを正確に申告するように要求する必要がある。
源泉徴収義務者が法により全員全額の源泉徴収明細申告を実施していない場合、主管税務機関は租税徴収管理法の関連規定に従い処罰を行う。

(三)年間所得12万元以上の納税者の自己納税申告管理強化
年間所得が12万元以上の納税者の自己納税申告は納税者の法定義務であり、高所得者の徴収管理を強化する重要な措施である。各地税務機関は自己納税申告制度を健全に運用し、申告の手順を改善し、自己納税申告を日常徴収管理業務として正常化管理を行う。高所得者の税源分布状況の掌握、源泉徴収義務者の明細申告情報の比較審査、及び工商・不動産管理・人力資源社会保障・証券機構等の部門との協力と情報共有の強化を通じて、年間所得12万元以上の納税者の自己納税申告をさらに促進する。自己納税申告データの品質向上を重視する必要がある。適切な措施を講じることで、納税者に異なる源泉からのすべての所得を申告させ、申告データの真実性と完備性を向上させる。税金を源泉徴収していない、または源泉徴収金額が不足している場合、納税者に税金の追納を求める。納税者は申告すべきだが申告していない、または過少申告した場合、租税徴収管理法の関連規定に従い処理を行う。

(四)個人所得税情報管理システムの活用を推進する
個人所得税情報管理システムの活用が進んでいない地区について、省級税務機関は業務レベルを引き上げ、税務総局の業務上の手配と要求に従い、個人所得税管理システムを明細申告を行うすべての源泉徴収義務者に普及させる。すでに個人所得税情報管理システムを全面的に活用している地区については、要求に従い、個人所得税明細データを税務総局に集約させる。

二、高所得者の主要な所得項目の徴収管理強化

(一)資産譲渡所得の徴収管理
1. 譲渡制限株式の譲渡所得の徴収管理強化証券機構との連携を強化し、自発的に当地区の上場会社と上場予定会社の株主構成状況を掌握し、譲渡制限株式譲渡所得の個人所得税徴収業務を行う。
2. 非上場会社の持分譲渡所得の徴収管理強化工商行政管理部門との協力を強化し、自然人の持分変更登記の税収事前措施の実施またはその他の方法で持分譲渡の情報を取得することを検討する。簿価または低価格で譲渡した場合、《国家税務総局 持分譲渡所得による個人所得税徴収管理強化に関する通知》(国税函[2009]285号)の規定に従い、法により税金計算根拠を確定する。
3. 不動産譲渡所得の徴収管理強化《国家税務総局 個人の不動産譲渡所得の個人所得税徴収問題に関する通知》(国税発 [2006]108号)・《国家税務総局 個人による不動産譲渡の税収徴収管理問題に関する通知》(国税発[2007]33号)等の関連文書の規定に従い、不動産譲渡所得の個人所得税徴収管理業務を引き続き行う必要がある。
4. 競売所得の徴収管理強化主管税務機関は競売関連情報を収集し、《国家税務総局 個人が取得する競売所得の個人所得税徴収強化及び規範化の問題に関する通知》(国税発[2007]38号)の規定に従い、競売する者に対して法により個人所得税の源泉徴収を督促する。

(二)利子・配当所得の徴収管理強化
1. 配当所得の徴収管理強化株式有限会社の配当時の源泉徴収税金管理を強化し、国外上場会社の配当に対して、現行の個人所得税徴収免税規定を厳格に執行する。企業の資本金振替の管理を強化し、未処分利益・利益剰余金と、株式払込剰余金を除くその他の資本剰余金を資本金に振り替える場合、「利息・配当所得」項目として、現行の政策規定により個人所得税を計算し徴収する。
2. 利子所得の徴収管理強化財務諸表関連科目の検査や、資産実地検査等の方法により、自然人・企業及びその他の組織の自然人からの借入及び利子支払の状況を調査し、利子所得について法により個人所得税を計算し徴収する。
3. 個人の法人企業からの消費性支出と投資企業からの借入の管理強化投資家本人・その家庭及び関係者の所得について、《財政部 国家税務総局 個人投資家の個人所得税徴収管理規範化に関する通知》(財税[2003]158号)の規定に従い、「利息・配当所得」の項目で個人所得税を計算し徴収する。

(三)大規模な個人独資企業・パートナー企業・個人事業主の生産・経営所得徴収管理強化
1. 帳簿管理の強化主管税務機関は納税者に法律・行政法規の規定に従い帳簿を設置するよう促す必要がある。帳簿を設置することができない場合、租税徴収管理法及びその実施細則と《財政部 国家税務総局 〈個人独資企業とパートナー企業投資家の個人所得税徴収に関する規定〉の発行に関する通知》(財税[2000]91号)等の関連規定に従い、課税所得率を確定する。税務師・会計師・弁護士、資産評価・不動産評価等の鑑証類仲介機構は、個人所得税の査定徴収を行ってはならない。
2. 非法人企業の登記抹消管理強化企業投資家は工商登記抹消の前に、主管税務機関で税務事項を清算し、未納所得について法により個人所得税を徴収する。
3. 個人の消費支出と非法人企業の生産経営支出の管理強化企業資金を投資家本人・その家庭及び関係者の消費性と財産性支出の一部に用いる場合、《財政部 国家税務総局 個人投資家の個人所得税徴収管理規範化に関する通知》(財税[2003]158号)等の関連規定に従い、「個人事業主の生産・経営所得」項目で個人所得税を計算し徴収する。

(四)役務報酬所得の徴収管理と賃金給与所得の照合管理強化
各地税務機関は関連部門との協力により、役務報酬の支払情報を取得し、各種の役務報酬について、特に報酬支払の高額なもの(例えば演芸・講演・コンサルティング・理財・教育訓練等)の個人所得税管理を強化し、源泉徴収義務者が法により源泉徴収義務を履行するよう督促する必要がある。
高所得業種の企業について、全員全額の明細申告データにおける賃金給与所得総額を、企業所得税申告書の給与費用支出総額と比較し、企業の正確な申告と個人所得税の源泉徴収を規範化する。

(五)外国籍個人の所得の徴収管理強化
公安出入境管理部門と協力して、外国籍従業員の出入境時間及び関連情報を掌握し、税収管理と国境における税金清算等のための根拠を提供する。銀行及び外貨管理部門と協力して、対外支払税務証明の管理を強化し、資金の国外移転をコントロールする。各級の国税局・地税局は協力して、外国籍個人の管理ファイルを作成し、国家ごとの駐在員の給与水準を把握し、中国国内を源泉とし国外機構より支払われた所得の管理を重点的に強化する。

三、高所得者個人所得税の納税評価と特別検査の実施

各地税務機関は高所得者個人所得税の納税評価を日常の税収管理の重要項目として、全員全額の源泉徴収明細申告データと自己納税申告データ、外部より取得した情報を充分に利用し、評価指標を科学的に設定し、評価方法を革新し、高所得者の納税評価システムを構築する。納税評価に疑わしい点を発見した場合、追跡確認、インタビュー、及び調査を行い、納税者に自己補正申告・税金の追納を督促する。納税者に税収違法行為の嫌疑がある場合、税務査察部門に引渡して検査を行う必要がある。

査察部門は高所得者の個人所得税検査を税収特別検査の範囲に組み入れ、確実に手配する必要がある。検査において、特に高所得者の不労所得について納税しているか、条件に符合する高所得者が自己納税申告を行っているか、に注意する必要がある。納税回避、未申告、不正確な申告等に対しては、租税徴収管理法の関連規定に従い厳格に処理する。典型的な案例は、メディアを通じて公開する。

四、納税サービスを改善し、高所得者が法により誠実に納税するように指導する

各地税務機関は高所得者の個人所得税徴収管理を強化すると同時に、適切な納税サービス業務を行う必要がある。方向性を定めて高所得者に対する個人所得税法の宣伝と政策指導を行い、高所得者が自発的に申告し、法により納税し、誠実な納税の良好な雰囲気をつくる。「ネット税務局」の建設を推進し、申告方法を多元化し、高所得者を含む納税者のために多チャンネルかつ簡便な納税申告サービスを提供する。納税者の税に関する訴求を理解し、問い合わせの方法を拡大し、問い合わせ回答の品質と効率を高める。納税者のための完税証明の発行と納税者の所得・納税情報の秘密保持管理を行い、納税者の合法的な権益を保護する。

国家税務総局
二○一○年五月三十一日