中国 図解・Excelでつくる財務レポート
[Excel財務レポート] (五日目)四半期財務報告書の作成
目的 | 四半期財務報告書を作成する |
作業の流れ |
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使用するブックとシート |
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四半期レイアウトを作成する
最後に月次レイアウトを応用して、四半期レイアウトを作成してみます。基本的な枠組みは全く同じで、タイトルと数式を変えていくだけです。
シート「Report」をコピーして「Report2」と名前をつけ、タイトルを四半期対応に変更します。
表1:タイトルの変更
Report | Report2 |
=$A$1&”月度” | =”第”&$A$1&”四半期” |
前年同月 | 前年同期 |
前年同月比 | 前年同期比 |
データを取り出す
初めに四半期とは何かを考えてみます。第1四半期は1~3月(日本では4~6月ですが、中国の会計年度で考えます)なので、第n四半期は「(3n-2)~3n月」と一般化できます。この3ヶ月間を合計すればよいので、セルE5に入れる数式は「=SUM(INDEX(DataPL2009,$A5,$A$1*3-2):INDEX(DataPL2009,$A5,$A$1*3))」のようになります。変えたのはindex関数の列の指定と、sum関数を加えたことだけです。
シート「PL2009」で該当部分をドラッグし、右下に表示される合計額を確認してみて下さい。合っていれば、この数式を前年同期と予算の部分にコピーし、数式のデータ範囲をそれぞれ「DataPL2008」、「DataPL2009F」に変更します。3つの数式を17行目まで(数式のみ)コピーしていけば完成です。
累計はすでにデータベースで計算されていますので、月の数字を四半期に対応させるだけです。第n四半期は3n月に対応しますので、セルE20に「=INDEX(DataPL2009R,$A20,$A$1*3)」と入力します(「*3」を追加しただけです)。前年同期、予算も同様に修正して下さい。
図1:四半期財務報告書の完成(A1に2を入れたところ)
分業の方法
最後に分業の方法について少し詳しくご説明したいと思います。
基本は、(A)元データを準備する作業(一日目)、(B)データベースを作成する作業(二日目、三日目)、(C)財務報告書を作成する作業(四日目、五日目)の3つに大きく分けて分業します。
この連載で用いたレイアウトの縦軸は、損益計算書の代表的な項目のみを取り出しました。しかしながら、財務レポートは会社の経営分析に応じて無限に種類があり、時と状況によって大きく変化します。
例えば、損益計算書を見て利益が減少したため、商品別の原価率を分析する必要が生じたとします。(C)の担当者は分析の要件を把握して先に大まかなレイアウトをつくり、データとして不足している部分を(B)の担当者に伝えます。(B)の担当者は元データが既にあるものかどうかを判断し、ない場合は(A)の担当者に作成を依頼します。初めからデータがないことも結構あるので、その場合は担当者(A)は元資料からデータを起こしてこなければなりません。
一般に、分業がすすむとコミュニケーションのコストが発生し、分業の効果を上回る場合があります。しかしこの方法であれば、コミュニケーションの問題はExcelの数式の中でほぼ解決されており、同じフォーマットを前提にして担当者間のコミュニケーションを取ることができます。ただし、フォーマットの構造全体が公開されていることが重要で、その公開された標準を前提として、各担当者の創意工夫によって全体のパフォーマンスの上昇が期待できると思います。
(連載終わり)