ベトナム ベトナム会計・税務 Q&A
[ベトナム 会計・税務] 個人所得税
Q. 個人所得への課税が厳しくなってきているようですが、何に対してどのように課税されるのでしょうか?具体的な申告方法、納付手続きや注意点などについて教えてください。
A. 居住者か非居住者かにより課税対象は異なります。居住者には全世界所得に基づく累進課税、非居住者にはベトナム源泉所得に対して一律20%の税率が原則として課されます。申告及び納付は翌月の20日までに行い、勤労所得は原則として会社が源泉徴収します。
1. 納税義務者
ベトナムに年間183日以上滞在する者及びベトナムに定住の場所を有する者は居住者とみなされます。従いまして年間183日未満の滞在であり定住場所を有さないものは非居住者となります。居住者は全世界所得に基づく納税義務を負い、非居住者はベトナム源泉所得に対して納税義務を負います。なお全世界所得の申告に疑いのある居住者勤務先に対して税務局の取調べが増加傾向にあります。
2. 課税所得
課税所得は、事業所得、勤労所得、その他所得に分かれます。事業所得は、製 品や商品の販売、農林水産業、賃貸などからの所得を指します。勤労所得は、勤務先からの賃金、給与、賞与、手当、勤務先負担の賃借料、光熱費、任意保険、個人名義のゴルフ会員権などを指します。但し、電話代、旅費などは含みません。その他所得は、株式や不動産取引、懸賞金、贈与による所得などを指します。
3. 税率
事業・勤労所得の税率は、居住者と非居住者で異なります。居住者へは累進課税にて月額所得500万ドン以下の5%から8千万ドン超の35%まで7段階に分かれます。所得550万ドンの場合(控除制度考慮せず)、500万ドンには5%、50万ドンには10%という具合です。非居住者は所得額に一律20%が課されます。その他所得は、居住所、非居住者を区別せず所得の種類に応じた一律課税です。
4. 控除制度
税金の控除制度は、納税者本人に対して400万ドン/月の所得控除、扶養者に対して被扶養者一人当り160万ドン/月の控除、また強制保険、寄付も控除対象です。但し、労働可能な配偶者に対しての控除は認められていないため、基本的には両親や子供の扶養控除申請を行います。扶養者はベトナム国内居住か否かを問いませんが、戸籍謄本による証明が必要であり、ベトナム語への翻訳及び公証手続きを要します。
5. 申告及び納付手続き
法人税の4半期手続に対して、個人所得税の申告及び納付手続きは、毎月必要となってきます。各月受領の所得に対して、翌月20日までに申告及び納付手続きを行います。また、暦年の所得に対する年末調整・確定申告も必要であり、3月末日までに申告を行い、納付額に不足がある場合には同じく3月末日までに納付を行います。納付額が超過している場合には、翌月以降の申告及び納付手続きにて控除されます。
今月のまとめ
- 納税義務者(居住者及びベトナム源泉所得のある非居住者)
- 課税所得(事業所得、勤労所得、その他所得の3類型)
- 税率(居住者には所得に応じた累進課税、非居住者には一律課税)
- 控除制度(本人及び扶養者に対して控除制度有り)
- 申告及び納付手続き(月次申告・納付は翌月20日まで、確定申告・納付は3月末日まで)
NAC国際会計グループ ベトナム事務所
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