香港 利得税

香港・2024年税務(改正)(賃貸物件の原状回復に係る所得控除並びに建物及び構築物に関する損金算入)条例草案が官報に掲載

2024年税務(改正)(賃貸物件の原状回復に係る所得控除並びに建物及び構築物に関する損金算入)条例草案(以下「法案」)は、10月18日付で官報に掲載される。この法案は、2024/25年度予算案の中で2つの利得税優遇措置を実施することを目指しており、これには、賃貸物件を基の状態に戻すために発生した費用に対する所得控除、並びに工業用/商業用建物または構築物に関する年次償却の損金算入可能な期限の撤廃が含まれる。

同法案によると、借り手がリース期間の満了時もしくは早期の中途解約時に、建物を原状回復するか、または原状回復費用を支払う義務があり、関連する費用が発生している場合でかつそれが合理的である場合は、当該費用を課税所得からの所得控除として処理することが可能である。

さらに、現在適格な納税者は、指定された期間(以下「使用期間」、耐用年数とは異なる規定であり、改正前の税務条例上では、対象となる不動産が建設されてから最初に使用された年度から25年間/50年間が年次償却の期限とされている)中、工業用/商業用建物または構築物の建設に関連する費用に関して、年次償却の損金算入が可能となる。建物または構築物が使用期間の満了前に売却された場合、その購入者は使用期間が残っている課税年度にわたって、年次償却を損金算入することが可能である。しかしながら、建物または構築物が使用期間の満了した後に売却された場合、その購入者はたとえ係る支出の残高があるとしても、年次償却を損金算入する権利を有しない。同法案では、古いもしくは中古の建物または構築物の購入意欲の妨げとならないよう、年次償却の損金算入可能な期限を撤廃することを提案している。今年の4月1日以降に開始する課税年度の基礎期間中において、建物または構築物が売却された場合、その購入者は、関連する建物または構築物の使用期間が満了しているかどうかに関係なく、係る支出の残額の全額が損金算入されるまで、年次償却を享受する資格がある。

香港政府のスポークスマンは、「2つの優遇措置は納税者の税負担を軽減し、ビジネス環境の改善に寄与することができる。原状回復費用は一般的に、納税者からの税金収入のわずかな部分を占めるのみであるため、今回提案されている所得控除は、政府の歳入に大きな影響を与えないと予想され、建物または構築物に対する年次償却の損金算入期限の撤廃に関しては、2022/23年度の統計に基づくと、政府の年間歳入が約1億6,400万ドル減少すると見られる」と述べた。

同法案は、2024/25年度より上記の措置を実施することを目的として、第一読会のため、10月30日に立法会に提出される予定である。

原文:Inland Revenue (Amendment) (Tax Deductions for Leased Premises Reinstatement and Allowances for Buildings and Structures) Bill 2024 to be gazetted(2024年10月16日更新)