中国
[全訳] 租税協定の特許権使用料条項の執行における問題
国家税務総局 租税協定の特許権使用料条項執行における関連問題に関する通知
国税函[2009]507号(原文)
各省、自治区、直轄市と計画単列市国家税務局、地方税務局、揚州税務研修学院:
中華人民共和国政府が対外署名した二重課税回避にかかる協定(大陸と香港、マカオ特別行政区が署名した税収協議を含み、以下、租税協定とする)の関連規定に基づき、ここに租税協定特許権使用料条項の執行における関連問題について下記のとおり通知する。
一、租税協定特許権使用料の定義において、工業、商業、科学設備の使用により収受する対価(即ち我国の税法での賃貸所得)を含むと明確にしている場合、関連所得は租税協定特許権使用料条項の規定を適用しなければならない。租税協定のこれに対して規定する税率が税収法規で規定する税率を下回る場合、租税協定で規定する税率を適用しなければならない。
上述の規定は、不動産の使用により生じる所得には適用されない。不動産の使用により生じる所得は租税協定不動産条項の規定を適用する。
二、租税協定特許権使用料条項の定義において列挙する工業、商業或は科学経験に関する情報はノウハウと理解しなければならない。通常は、ある項目の製品の生産或は工程複製を行うために必要で、未公開且つノウハウの性質を有する情報或は資料(以下はノウハウとする)を指す。
三、ノウハウと関連する特許権使用料は、通常、技術許可側がその未公開の技術を他方に許可し、他方が自由に使用できるようにさせることに関するもので、技術許可側は通常、技術譲受側の被許可技術への具体的な実施に自ら参与せず、且つ実施の結果を保証しない。被許可技術は通常、既に存在しているが、技術譲受側の需要に応じて研究開発した後使用を許可され、且つ契約書に秘密保持等の使用上の制限がある技術も含む。
四、サービス契約書において、サービス提供側がサービス提供の過程で専門知識及び技術を使用したがこれらの技術を譲渡又は許可しない場合、このようなサービスは特許権使用料の範囲に属さない。但し、サービス提供側のサービス提供により形成した成果が租税協定の特許権使用料の定義範囲に属し、且つサービス提供側が依然として当該成果の所有権を保有し、サービス提供先が当該成果に対して使用権のみを有する場合、このようなサービスにより生じる所得は、租税協定の特許権使用料条項の規定を適用する。
五、ノウハウの使用権を譲渡又は許可する過程において、技術許可側が人員を派遣し当該技術の使用に関連するサポート、指導等のサービスを提供し、且つサービス費を収受する場合、単独に収受するか技術対価に含まれるかを問わず、全てを特許権使用料とみなし、租税協定の特許権使用料条項の規定を適用しなければならない。但し、上述した人員のサービスが恒久的施設を構成した場合、サービス部分の所得については、租税協定の利得条項の規定を適用しなければならない。納税者は恒久的施設に帰属される利得を正確に計算できない場合、税務機関は租税協定の恒久的施設にかかる利益帰属原則によって確定できる。
六、下記の条項或は報酬は特許権使用料とするべきではなく、役務活動所得としなければならない。
(一)単純な貨物貿易項目下でのアフターサービスとする報酬
(二)製品の保証期間内に売り手が買手にサービスを提供し収受する報酬
(三)工事、管理、コンサルティング等の専門サービスに専門に従事する機構或は個人が関連サービスの提供によって取得する対価
(四)国家税務総局が規定するその他類似報酬
上述の労務所得は通常、租税協定の利得条項の規定を適用する。但し、個別の租税協定おいて別途に特殊な規定がある場合(例えば、中国イギリス租税協定において特に技術費条項を列挙する場合)を除く。
七、租税協定の特許権使用料条項の規定は、締約相手国の居住者である受益者のみに適用される。第三国が締約相手国で設立した恒久的施設が我国国内から取得した特許権使用料は、当該第三国と我国の租税協定の規定を適用しなければならない。我国の居住者企業が締約相手国で設立した恒久的施設は相手国の居住者に属さないため、相手国の居住者として租税協定の特許権使用料条項の規定を適用するべきではない。我国国内にある外国企業の機構、場所或は恒久的施設により、我国と租税協定を締結した締約相手国の居住者のために負担し且つその居住者に支払う特許権使用料は、我国と当該締約国の租税協定の特許権使用料条項の規定を適用する。
八、本通知は2009年10月1日より施行する。各地は本通知の規定に従い租税協定の特許権使用料条項を確実に執行しなければならず、執行中における問題点を税務総局に適時に報告しなければならない。
国家税務総局
二○○九年九月十四日